黒石寺・1000年以上続く奇祭のお寺

黒石寺 岩手県


今回の1000年以上の歴史を持つお寺は、岩手県にある黒石寺。日本三大奇祭り・裸祭りと言われる蘇民祭で有名なお寺ですが、1000年以上続いてきたこのお祭りは、残念ながら2024年をもって終了してしまいました。そんな歴史の深い黒石寺の魅力をご紹介。

黒石寺はいつ創建されたの?

729年(天平元年)、平城京にある薬師寺の法相だった行基が薬師如来像を祀ったことがはじまりと言われています。そのため、当初は「東光山薬師寺」と呼ばれていました。

同じく岩手県で世界遺産中尊寺と並ぶ古刹で同じ天台宗のお寺ですが、きらびやかな中尊寺とは対照的に静謐な雰囲気のお寺でもあります。実は黒石寺のルーツは中尊寺より150年ほど古く、東北最古の古刹と言われています。

黒石寺は開山当初から5回ほど焼失の被害にあっておりその都度再建されてきました。最初は、802年頃、桓武天皇は坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命した蝦夷征伐の時。この時は坂上田村麻呂により再建されました。その後何度か焼失と再建を繰り返し、現在の本堂は1884年(明治17年)に再建されたもの。

当初は薬師寺と呼ばれていた本寺ですが、「黒石寺」と改名されたのは849年、慈覚大師円仁がここを訪れ伽藍を拡張整備した時のことでした。1047年に造られた全国でも珍しい円仁像(慈覚大師像)は現在も残っており国の重要文化財に指定されています。

建物は何度も火災で焼失してきましたが、慈覚大師立像の他にも、本尊である薬師如来像(862年)や四天王像など平安時代の仏像が残っている貴重なお寺でもあります。

黒石寺蘇民際の終了
1000年以上も続いてきたお祭りはなぜ終わりを迎えてしまったのでしょうか?裸祭り、奇祭と呼ばれ度々問題にされたこともありましたが、毎年3000人以上が全国から集まる活気のあるお祭りでした。にもかかわらず、途絶えてしまったのは祭りの持つ「真の意義」にありました。黒石寺の蘇民際を代々守ってきた住職さんや檀家さんのインタビュー記事がありましたので、リンクを貼っておきます。
NHK 黒石寺蘇民祭 なぜ絶える?

黒石寺の見どころ

東北最古の古刹である黒石寺には貴重な重要文化財が多数保管されています。

本尊:薬師如来坐像(862年)

薬師如来像が祀られている本堂

一木造りの像内の膝裏に「貞観4年」と墨書銘がされており、仏像に年号を銘記したものとしては日本最古の仏像だそう。国の重要文化財にも指定されており、歴史的にも非常に重要な像であることがわかります。

<strong>ひと言</strong>
ひと言

なんと1200年近く前の仏像!一度は探訪してみたいですね

四天王立像(平安前期~後期)

こちらも一木造りで、4体合わせて国の重要文化財に指定されています。

持国天、増長天は本尊である薬師如来坐像(862年)と同時期の作、広目天、多聞天はその少し後(詳細不明)とされています。

慈覚大師像(1047年)

全国に円仁が開いたとされるお寺は多数ありますが、意外にも円仁を祀る慈覚大師像がある寺は珍しいのだそう。現在まで残っている貴重な像、国の重要文化財指定。

平安時代後期の仏像

・日光・月光菩薩(県指定有形文化財)
・十二神将像(県指定有形文化財)

黒石寺への行き方

黒石寺へのアクセスをご紹介します。

妙見山 黒石寺 (奥州三十三観音 第25番)
岩手県奥州市水沢黒石町山内17

公共交通機関を利用

東北新幹線:水沢駅からバス「正法寺線」黒石寺前 下車

水沢駅から車では15分程の距離にあります。

地図で確認

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